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晴れの日【成人式】の着物の素材「絹」や養蚕のこと・樋口屋の思い

いつもありがとうございます。
樋口屋の四代目社長 樋口寛司です。

猛暑日が続いておりますが、
体調など、崩されていませんか?
まだまだ暑さも続くかと思いますが、
そろそろ秋の気配も訪れ始め
涼しさを感じられるようになるかと思います。
なんとかあとひと息、夏を元気に乗り切りましょう。

さて、本日のブログは、着物の素材である「絹」にまつわるお話です。
成人式の振袖もその多くが絹でできていますので、
これから振袖を探そうとお考えの方にもぜひお読みいただければと思います。

「桑の木プロジェクト」に参加してきました

立春が過ぎた今年の2月28日、
「桑の木プロジェクト」に参加してきました。
今日はその内容と、日本の伝統工芸品である絹織物や養蚕(ようさん)業について、
簡単にご紹介したいと思います。

日本の伝統文化、絹織物

昨年の大河ドラマ「青天を衝け」はご覧になっていらっしゃいましたか?
吉沢亮さん演じる主人公・渋沢栄一の生家は養蚕業を営んでおり、
商いを通じて商才を磨いていった序盤のエピソードは
まだ記憶に新しいところかと思います。

あの時代、着物を仕立てるための反物は生活必需品であり、
重要な商いの道具でした。
当然現代のような合成繊維はなく、
人々はすべて天然素材の糸から、反物を織り上げていたのですが、
その中でも絹(シルク)は特に高級品として非常に重宝されていました。

絹には、綿や麻などの他の天然素材とは比べ物にならないほどの、
繊細で美しい光沢があります。
皆さまよくご存じかと思いますが、
触れたときのあの滑らかな感触は、
まさに絹ならではのものですよね。

そして、意外と知られていないのですが、
絹は機能性にも非常に優れています。
軽さがあるにもかかわらず、しなやかで強い。
そして適度な吸湿性をも併せ持つ…
美しさと機能を両立する、まさに魔法のような繊維なのです。
こんな特徴もあって、
古来より日本各地ではたくさんの絹織物が生産されてきました。

西陣織や結城紬などは、着物に詳しくない方でもきっと一度は耳にしたことがあるでしょう。
絹織物は、今でも日本の伝統工芸品として、人々を魅了し続けています。

国内養蚕の歩み

絹を語る上で、それを生み出す蚕蛾(かいこが)の存在を切り離すことはできません。
絹糸は、蚕蛾が「さなぎ」になる際に作る繭(まゆ)から生まれます。

糸から魔法の繊維を生産するため、多くの日本人がこの蚕蛾を飼ってきました。
日本の歴史上に養蚕が登場したのは、なんと邪馬台国の時代らしいです。
そんなに古い時代から養蚕を行ってきていたなんて、びっくりですね。

日本人の間に細々と受け継がれてきていた養蚕の伝統技術は、
江戸時代中期に大きく花開きました。
絹織物、そして絹の着物の需要が非常に高くなったことから、
米に変わる安定的な代替生産品として、
各藩が絹糸の生産を推奨したのです。
これを機に、全国各地に養蚕と生糸づくりが広がります。
養蚕の技術も、この江戸時代を機に大きく発展したようですよ。

その後明治維新を経て、養蚕業は日本の工業化にも大きく貢献。
富岡製糸場の操業開始などは皆さまも歴史等で学ばれ、
よくご存じの部分ですよね。

このような数多の時代を経て、
日本の養蚕業は長く発展を続けてきました。

日本の伝統を守りたい

このように、かつては日本にとって非常に大きな役割を果たした養蚕ですが、
悲しいことに現代では、年々下降傾向をたどっています。
2018年の日本全国の養蚕農家の戸数はたった293戸。
繭の生産数量は、27年前の1994年の2%弱にまで落ち込み、
従事者の平均年齢は77歳を越えています。

このようになった理由は、
絹よりも安い合成繊維の登場で絹そのものの生産が減ってしまったことや、
安価な輸入品の台頭、後継者不足の問題などがあります。
国内養蚕を守るために農林水産省で制定されていた補助金も、
1999年を境に打ち切られてしまい、今や国内養蚕は瀕死の状態です。

このままでは着物の源である繭玉がすべて輸入産品になるだけでなく、
世界一といわれた日本の養蚕技術も失われかねません。
それを防ぐため、2011年より「桑の木プロジェクト」が発足しました。
このプロジェクトでは国内絹生産業者を中心に、毎年桑の木の植樹を行っています。

養蚕農家の減少に伴い、桑の木畑も年々減少の一途をたどっています。
小さな力ではありますが、毎年の植樹を続けることで、
生産者と販売者が一体となって、
日本の大切な伝統である養蚕業、
そして着物を取り巻く文化を死守していきたい…。
私もそんな願いを込めて、一本一本丁寧に植樹しました。

プロジェクトには、樋口屋以外の呉服店関係者も、
たくさん参加されていました
みなさん、その思いは同じです。
そして懸命な作業を共にすることで不思議な一体感に包まれ、
同業他社の皆さまとの絆も一層強くなったように感じました。
我々は、この使命を果たさねばなりません。
来年もまた必ず参加しようと思います。

●2月28日 植樹した当日

●7月6日 植樹から4か月で、桑の木がここまで成長しました!

いつか、私が植えた桑の木が大きく成長し、
その葉を原料にした美しい絹糸・反物が、綺麗な振袖になって樋口屋に帰ってくる。
今は、そんな未来をほんのり夢見ています。

 

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