【成人式が終わったら】着物クリーニングについて@埼玉県鴻巣市「着物振袖の樋口屋」
いつもありがとうございます。
樋口屋の四代目社長 樋口寛司です。
今回は、成人式が終わったあとの着物のクリーニングについてご紹介します。
成人式という人生の大切な節目を彩った振袖。思い出がたくさん詰まった大切な一着を、次の世代へ、あるいは次の機会にも美しく着られるよう、適切なお手入れとクリーニングが必要です。
成人式後の振袖のケアについて、専門店の視点から詳しくご説明します。
なぜ成人式後すぐのお手入れが重要なのか

成人式当日は、写真撮影や式典参加、お友達との食事会など、一日中着物を着て過ごされる方がほとんどです。
その間、振袖には目に見えない汚れが付着しています。
ファンデーションや口紅などのメイク汚れ、食べこぼし、飲み物のシミ、汗や皮脂、排気ガスやホコリなど、様々な汚れが蓄積されています。
特に注意が必要なのは、一見きれいに見えても時間が経つと変色してしまう「見えない汚れ」です。
汗や皮脂は時間とともに酸化し、黄ばみやシミの原因となります。
成人式後、できるだけ早くお手入れすることで、これらの汚れによるダメージを最小限に抑えることができるのです。
成人式当日、帰宅後すぐにできるお手入れ
♦︎その日のうちにすべきこと
帰宅したら、まず振袖をハンガーにかけて風通しの良い場所に干しましょう。
直射日光は避け、室内の陰干しが基本です。最低でも半日から一日は干して、湿気や汗を飛ばすことが大切です。
振袖を干す際は、着物専用のハンガーを使用するのが理想的ですが、ない場合は幅の広い洋服用ハンガーでも構いません。
ただし、針金ハンガーなど細いものは避けてください。型崩れの原因になります。
♦︎汚れのチェックポイント
干している間に、汚れがないか確認しましょう。特にチェックすべき箇所は以下の通りです。
衿元や袖口は、ファンデーションや口紅が付きやすい部分です。
白やパステルカラーの振袖の場合、特に目立ちやすいので注意深く確認してください。
胸元や前身頃は、食事の際の食べこぼしや飲み物のシミができやすい場所です。
小さなシミでも見逃さないようにしましょう。
裾や袖の先端部分は、地面や壁に擦れて汚れが付きやすい部分です。泥はねなどがないか確認します。
脇や背中部分は、汗ジミができやすい箇所です。
一見わからなくても、後から変色することがあるため、念入りにチェックが必要です。
♦︎応急処置の注意点
もし汚れを見つけても、自己判断で水拭きしたり洗剤を使ったりするのは絶対に避けてください。
着物の生地は非常にデリケートで、水濡れによって輪染みができたり、色落ちしたりする可能性があります。
汚れを見つけたら、その場所をメモしておき、出す際に必ず伝えるようにしましょう。
専門店でのクリーニングについて
♦︎クリーニングのタイミング
振袖を陰干しして湿気を飛ばしたら、できるだけ早めに専門店にクリーニングを依頼することをお勧めします。
理想は成人式から2週間以内、遅くとも1ヶ月以内には出すようにしましょう。
時間が経つほど汚れは落ちにくくなり、シミが定着してしまう可能性が高まります。
また、成人式シーズン後は混雑することも多いので、早めの依頼が安心です。
♦︎着物クリーニングの種類
着物のクリーニングには、主に「丸洗い」と「染み抜き」があります。
丸洗いは、揮発性の溶剤を使って着物全体を洗う方法です。皮脂汚れやファンデーション、排気ガスなどの油性の汚れを落とすことができます。
ただし、水溶性の汚れ(汗や飲み物のシミなど)は落とせないため、汗をかいた場合は別途「汗抜き」が必要になります。
染み抜きは、ピンポイントでシミを除去する作業です。食べこぼしや飲み物のシミ、メイク汚れなど、目に見える汚れに対して専門の技術で対処します。
シミの種類や大きさ、付いてからの時間によって料金が変わることがあります。
♦︎着物クリーニングは専門店の樋口屋へ
着物クリーニングは、洋服のクリーニングとは全く異なる技術が必要です。
必ず着物専門店へ依頼しましょう。
明治43年の創業時から「樋口屋京染店」の社名が表すとおり染屋として営んできた樋口屋。
洗いやシミ抜きなど、着物に関するあらゆるご相談ごと(悉皆)にお応えします。
着物の状態を実際に確認しながら、必要なクリーニング内容をご提案させていただきます。
見積もりを取る際は、丸洗いだけでなく、汗抜きや染み抜きが必要かどうかも確認しましょう。
追加料金が発生する場合もあるので、事前にしっかり確認することが大切です。
クリーニング後の保管方法

♦︎たとう紙での保管
クリーニングから戻ってきた振袖は、たとう紙に包んで保管します。
たとう紙は着物専用の和紙で、湿気を調整し、シワを防ぐ役割があります。
古いたとう紙は湿気を含んでいることがあるので、できれば新しいものに交換することをお勧めします。
当店でもたとう紙の販売を行っておりますので、お気軽にお声がけください。
♦︎保管場所の選び方
着物の保管に最適な場所は、湿気が少なく、温度変化の少ない場所です。
押し入れやクローゼットの上段が理想的です。
直射日光が当たる場所や、湿気の多い場所、温度変化の激しい場所は避けましょう。
色あせや変色、カビの原因になります。
桐のタンスがあれば最高ですが、なければプラスチックの衣装ケースでも構いません。
ただし、完全密閉はせず、時々空気を入れ替えることが大切です。
♦︎防虫対策
着物の大敵は虫害です。特に正絹の着物は、虫に食われやすいので注意が必要です。
樋口屋では防虫対策は「漢方敷」をおすすめしています。
漢方敷は防虫効果のあるウコン成分が施された黄色紙のシートです。
こちらのシートを箪笥の引き出しに1枚お引きいただくことをお勧めしています。
着物専用の防虫剤を使用しましょう。
複数の種類の防虫剤を一緒に使うと化学反応を起こすことがあるので、必ず同じ種類のものを使用してください。
♦︎定期的な虫干し
年に1〜2回、天気の良い乾燥した日に虫干しをすることをお勧めします。
湿気を飛ばし、虫害やカビを防ぐことができます。
虫干しは、直射日光を避けた風通しの良い場所で、着物を広げて数時間干します。
この機会に、シミや変色がないかもチェックしましょう。
次に着る時のために

振袖は成人式だけでなく、結婚式のゲストとして、お友達の前撮りのお手伝いとして、またご自身の結納や結婚式の前撮りなど、未婚の間は様々な場面で着る機会があります。
適切なお手入れとクリーニング、そして保管をすることで、いつでも美しい状態で振袖を楽しむことができます。
また、将来お嬢様に受け継ぐことも可能になります。
当店では、クリーニングのご相談だけでなく、保管方法のアドバイス、次に着る機会のご提案なども行っております。
大切な振袖を長く美しく保つために、どうぞお気軽にご相談ください。
成人式後の振袖のお手入れは、その日のうちの陰干しから始まります。そして早めのクリーニング、適切な保管が、振袖を長く美しく保つ秘訣です。
一生に一度の成人式を彩った大切な振袖。
次に袖を通す日まで、丁寧に大切に保管しましょう。ご不明な点やご相談がございましたら、いつでも当店スタッフまでお気軽にお声がけください。
皆様の大切な振袖を、次の世代へと受け継ぐお手伝いをさせていただきます。